妻がオンラインゲームにはまり→うつ病→家事どころか日常生活もおろそかになり→夫婦関係が悪化して→離婚を考えるまでになるが→妻は誰にも邪魔されずにオンラインゲームをやりたいだけなので離婚後の具体的生活像が描けず→離婚が具体化しない、このようなケースは増加傾向にあります。
離婚、離婚といいながら相手を非難して争っても、同居を続けていては調停も夫婦喧嘩の延長でしかありません。
離婚を説得する機会を得るために同居をしているとか、自宅の占有が離婚の条件交渉に有利になるとか、何らかの目的のために戦略的に同居しているならばともかく、調停委員に互いの非を言いつけあっても何の解決にもならないのです。
ただ、喧嘩をしながらも日常は流れていくわけで、長い年月の間にはまた夫婦関係が改善したりするのかもしれません。
阿部マリ
家裁月報64-10-87
【事例6】
事件名:夫婦関係調整(離婚) 、婚姻費用分担
当事者:申立人(妻)、相手方(夫)、長女(13歳)、長男(11歳)、二女(5歳)
調査事項:子の心情
子の調査実施に至らなかった事情:妻は、夫と同居中であるが、夫は話しかけても無視する、夫と一緒にいる時間が少ないなどの不満を理由として離婚の調停を申し立てた。
妻は、他者と接することが苦手で、これまで、子らの日常の世話は妻、行事参加等の対外的なことは夫が担ってきた。
妻は、調停申立ての約2年前からインターネットゲームにはまり、その後、うつ状態と診断され、子の世話以外の家事はおろそかになった。
そのころから、夫及び妻は家庭内別居の状態となり、子らは、日中は妻、夜間は夫と過ごすようになった。
第1回及び第2回調停期日において、妻は、生活設計や自立の目処が立たず、監護態勢が定まらないにもかかわらず、子の親権を主張した。
一方、当初離婚に迷いを見せていた夫は、第3回調停期日で離婚の意志を固め、子らの親権を主張したものの、夫の仕事は早朝から深夜に及ぶため、単身での監護は難しい状況であった。夫及び妻は、共に離婚を主張するものの、別居について具体的な見通しを持っていなかった。
第3回調停期日で親権の対立が明らかとなり、また、長男が火遊びをするなどして、子らが安定していない様子が見られたことから、子らの状況を確認することにより、子の福祉に配慮した調停を行うことを目的とした子の調査が評議で検討された。
しかし、和合の見込みは低いが同居を解消する気配がなく、夫及び妻の監護態勢も定まっていない現在の状況で調査を行っても、かえって夫婦間の対立が激化しかねず、子らに負担を強いるだけになるおそれがあると判断され、その時点での調査は見送られた。