お客様の声>父親が4歳の子の親権者となった経験談(37歳男性)>経験談:本人起訴を考えている方へ
※阿部オフィスに寄せられたお客様の声の経験談です。作成者は37歳男性です。
特に監護者・親権を本人起訴でとお考えの方は、想像以上の茨道であることを覚悟して下さい。
たった一人です。
「裁判官が見方してくれるはず」等の安易な考えは捨てて下さい。
これは主観的な考えです。
また、全ての判断は自分自身で出さなければなりません。
当然、敵は相手の弁護士です。
一般常識で考えると到底勝ち目は無いに等しいです。
私も当然、無知の状態でしたが、さまざまなアドバイスやこれまでの自分の人生経験をフルに生かし、以下のような争い方で結果が得られました。
すべてのケースに当てはまる訳ではありません。
最終判断を下すのは全て自分自身です。
「言うは易し、成すは難し」の通り、ここに書かれている以上の困難は必至です。
心して取り掛かって下さい。
(1)多角の考えを持つことの大切さ
この考えを持っていれば、調停や裁判でもある程度冷静に対処できるかと思います。
裁判所でことを構えるのであれば、必ずぶち当たるのは「中立」という考え方です。
簡単な言葉に聞こえますが、これまで生きていた常識を覆される程「中立」という考え方は難しいです。
なぜならば、私もそうでしたが、日常生活において「自分の常識」にとらわれて、様々ことを判断しているからです。
調停では、話し合いが専らですが、「なんでこんなに相手の肩を持つのだろう?」というくらいイラつきがでるくらいです。
しかし、それが「中立」の考え方です。
相手にも人権はあります。
決して自分の言い分だけではありません。
ここで大切なのが、「多角の考えを持つ」でした。
「離 婚原因はアイツだ!」、「でも本当にアイツなの?」、「なぜ離婚に発展する前に問題回避できなかった?」、「自分にも原因があったのかも?」、「そういえ ばあの時、自分が怒鳴らずアイツを慰めてやれば、回避できたのか?」、「回避できなかった自分にも原因があるかも?」と問題に一度真面目に取り組んでみて 下さい。
実際、難しいと思いますし、世の中を恨みたくなる気持ちにさえなります。
しかし、ここを乗り越えれば、問題の本質が必ず見えます。
充分に多角の考えが出来ているからです。
本質が見えれば、調停や裁判において、きちんと紛争の本質の説明や主張をするだけですし、紳士的な対応が自然にとれるようになってきます。
また、調停や裁判等で相手の作戦に引っかかることも少なくなるでしょう。
相手は、挑発や脅しめいたことを色々と吹っかけてきます。
それらを単純に相手していては、相手の思う壺ですし、相手はそこを狙っています。
しかし、多角の考えができれば、相手の立場となり、相手が何をしたいかを見極めることがある程度可能であり、それらに冷静に対処できます。
必ず「多角の考え」を持ち、広い見解で事に当たって下さい。
これができないと紛争は激化の一途ですし、当然言い争っていると親権への影響も大きいです。
言い争いは客観的に見てもウィークポイントです。
電車の中でのつまらない言い争いと同じで、周囲からみると言い争いは不快な光景でしかなく、離婚紛争でも同様です。
「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とは多角の考えの一例に私は思えます。
(2)相当の負担が圧し掛かる
まずは、書面作りに相当の時間を費やすることになります。
実際争いが始まると、ほとんどを費やすることになると思います。
書面作成の為、PCは必須ですし、ブラインドタッチが出来ない方やマクロソフトのワードが使えない方はかなり苦労します。
仕事をしている人には寝る間が殆どなくなると思います。
今まで私が書いた書面は、ボツになったものを合わせるとA4用紙300〜400ページくらいになります。
通勤の電車では何度も何度も本文を読み返しては修正するという日々が続きました。
また、裁判所の手続きは全て自分です。
何一つ知らなかった私は、監護者指定審判等の申立書を裁判所で事務官の方から指導を受けながら、6時間掛けて書き上げました。
相手の弁護士との連絡も取らなければなりません。
無駄な時間は何一つありません。
ストレスがたまるだけでなく、疲労が抜けない日々が年単位で続くことを覚悟して下さい。
また、このような生活をしていると会社での勤務状況に大きく影響します。
私の場合、勤務先が私に相当な配慮をしてもらえたので、幸いだったのかもしれません。
この段階で、少しでも「自分には無理だ」と思うようであれば、本人起訴をお勧めしません。
(3)相手が弁護士であれば当然なめられている
相手に弁護士が付いているのであれば、相手の弁護士に当然なめられます。
私もそうでした。非常に腹立たしいことも言ってきます。
しかし、ネガティブに考えても先には進みません。
この状況を逆の発想すると相手弁護士は素人相手と思い、油断をしているということも考えられます。
ですので、相手の弁護士の挑発や脅しにはあっさりのらず、冷静にかつ分からないことはその場で判断しないことです。
「なめられている」という状況を利用し、水面下で着実に歩みを進め、自身の足場を固めて下さい。
私の場合、相手の弁護士から散々なめられていました。
その弁護士の口癖は「裁判する」との脅かしでした。
私は、審判段階で確実に足場を固めました。
審判結果がでるころには、私には「ブレない主張と確たる証拠」が確立し、それは相手の弁護士の主張を一切寄せ付けないものとなりました。
今となっては、私が相手の弁護士に「裁判する」と言えるようになりました。
(4)相手とのやりとりは全て文章で行い、必ず履歴をとる
私は相手の弁護士と電子メールでやりとりを行いました。
そうした理由は、相手の弁護士が所謂「言った、言わない」をやる少々面倒な方だったからです。
本人起訴の場合、法廷の中に味方は誰一人居ません。
味方してくれるものは、証拠や履歴です。
電子メールのみならず、様々な場面での証拠取り、事実を形に残して下さい。
私は相手の弁護士のやり取りを全て電子メールにしていたので、先に記した通り相手の弁護士の「言った、言わない」に対しては「電子メールの証拠」を提出し、嘘を証明しました。
(5)議事録は必ず取ること
審判・裁判では、必ず議事録や簡易メモを取ってください。
私は、議事を作り、都度、次回の「傾向と対策」を立てました。
発言だけでなく、裁判官や相手、相手弁護士等の法廷内の人の表情にまで目を配ってください。
(6)可能であれば裁判経験を
今後、争いを展開する中、審判・裁判に直面される方もいらっしゃると思います。
特に本人で対応される方は、裁判の傍聴をするなど一度、「場馴れ」をすることを強く推奨します。
女性が相手であれば間違いなく弁護士がついており、発言は場馴れしたプロが相手です。
テレビで観かけるような進行ではありません。
審判・裁判は書面を基にした真実の追及の場です。
「事の成り行き」を知らなければ、精神的負担が相当大きいですし、予想通りに事を運べません。
私は、場馴れするためのタイミングがたまたまよく、勤務先の裁判に証人として地裁に出廷することができ、証人尋問を経験してから、自分の離婚裁判に臨みました。
裁判での証人尋問は離婚だろうがなんであろうが変わらず、きっちり、主尋問・反対尋問の30分ずつ計1時間、事件についてご自身で証言しなければなりません。
(7)争い中の相手の対応
相手と直接連絡はとらないほうが望ましいです。
代理人が仲介しているのであれば、必ず代理人に連絡して下さい。
直接会うなどは論外です。
特に親権争いをしている男性は要注意です。
なぜならば警察のご厄介になる可能性が高いからです。
理由は、裁判をやらなくとも裁判の相手が警察に逮捕されるほうが、楽だからであり、警察の厄介になるのは女性よりも男性のほうが確率は高いからです。
裁判の相手が女性であれば当然、DV法の悪用や暴行の疑いを掛けてくることが大いに予想されます。
現行DV法は女性の通報だけで警察は動きますし、暴行は故意に女性が怪我し「離婚裁判中の夫に殺されそうになった」と警察に駆け込めば、男性はほぼ留置所行きです。
そうなってしまうと親権などと言っている場合ではありません。
この段階で「暴力夫」の証拠が完成してしまい、親権どころか慰謝料の請求がほぼ確定してしまいます。
争い中は決して「今までのあなた」などと甘い考えは捨て、「他人」と考えて下さい。
私の場合、長女の監護者が確定した頃くらいから、妻からの逆恨みを恐れ、外出時は防刃チョッキを着ていました。