<阿部補足>
当時2歳の子どもを、共同親権者である夫が連れ去った事案です。
夫は、知人女性に身内を装わせて保育園から子どもを連れ出させ、ホテルを転々とするなどした末、9日後に沖縄県下において未成年者略取の被疑者として逮捕されました。
その3か月後に、保育園に妻母がお迎えにきて子どもを自動車に乗せる準備をしている隙をついて、夫は子どもを抱きかかえ、自分の車に乗せて連れ去りました。
夫は同日の夜に林道で子どもと一緒に車内にいるところを発見されて、通常逮捕されました。
未成年者略取被告事件(最高(二小)H17.12.6)
家裁月報58巻4号
母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例
母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は、別居中の共同親権者である父が行ったとしても、監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず、行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では、違法性が阻却されるものではない。
(参照条文)刑法35条、224条、民法818条、820条