審判前の保全処分(子の監護者の指定、子の引渡し)申立各却下審判に対する抗告事件
【一方の共同親権者の監護下にある未成年者を他方が違法に連れ去った場合における子の引渡しを求める審判前の保全処分】
家裁月報61-7-59
共同親権者である夫婦の別居中に、その一方の下で監護されていた未成年者を他方が一方的に連れ去った場合において、従前未成年者を監護していた親権者が速やかに未成年者の仮の引渡しを求める審判前の保全処分を申し立てたときは、従前監護していた親権者の監護下に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり、必要な養育監護が施されなかったりするなど、未成年者の福祉に反し、親権行使の態様として容認することができない状態となることが見込まれる特段の事情がない限り、その申立てを認め、その後の監護者の指定等の本案審判において、いずれの親が監護することが未成年者の福祉にかなうかを判断するのが相当である。
東京高 平20.12.18(決)