大阪高決平20.9.1
母親が、三女出産に当たって、4歳(当時3歳)の長女及び二女(双子)を父親の実家に預け、三女出産後まもなく三女を連れて家出し、翌月、福祉施設に入所し、離婚調停を申し立て、かつ長女及び二女の引渡しを求めた事案である。
抗告審は、
「抗告人(母親)は、現在、母子生活支援施設に入所しているものであり、最近になって、飲食店のアルバイトとして、週に4日、1日に3、4時間程度働き始めたものの、いまだ生活保護を受けている状態であり、しかも、1歳になったばかりの○○(三女)を抗告人が1人で監護養育していること、抗告人自身、友人や行政機関の職員に対し、未成年者らの引取りへの不安を訴えていたことからすると、抗告人において、さらに2人の幼児を引き取る態勢が整っているとはいい難い。
抗告人は、上記施設を出て、定職に就き、親族の援助を受けながら未成年者らを監護養育したいと主張するものの、転居及び就職は、具体性に乏しく、これを安易に期待することはできない。また、抗告人の親族は、資力に乏しい上、これまでも、主に相手方の親族が未成年者らの育児に協力してきた経緯に鑑みると、抗告人の親族による援助についても、多くを期待することはできない。」
として、母親の申立てを却下した原審判を維持した。
家裁月報63-9