東京家庭裁判所広報紙第5号(平成20年8月発行)「面接交渉と家庭裁判所の児童室について」は、調査官が面接交渉と子どもについての記事を書いており、その中でPASについてふれている箇所があります。
この記事を読んで、面接交渉の調停を数多く(平成18年には、なんと569件!)経験している調査官の言葉に勇気をもらう方は多いのではないかと思います。
〜引用ここから〜
子どもは引き離しによって,戸惑い,混乱し,激しく悩みます。場合によっては,うつ状態になったり,チックや脱毛など医学的身体反応を示したりすることもあります。これらのように,片親から引き離されることによって生じる子どもの問題を総称し,「片親引き離し症候群 PAS = parental Alienation Syndrome」という言い方をすることがあります。そのようなとき,えてして監護親は「このような事態になったのは相手(非監護親)のせいだ。」と感情的に態度を硬化させてしまいがちなのですが,たいていの場合,子どもの観点は異なります。子どもにとっては,どちらがいいというより,むしろ本来2人いるはずの親が喧嘩し,いつの間にか親がひとりになってしまったことに対する混乱が,このような症状になっている可能性があります。「片親引き離し症候群」 という考え方は,まだ日本では十分議論が尽くされた概念ではありません。しかし,これからの面接交渉の在り方を考えるうえで,大事な概念となるかもしれません。
〜ここまで〜
元記事/2008.10.16 Thursday/阿部マリ