夫婦関係調整調停申立事件
福井家 平21.10.7(審)
【夫婦関係調整調停申立事件につき家事審判法24条により離婚の審判をした事例】
申立人(妻)が離婚を求めて夫婦関係調整の調停を申し立てた事案において、
申立人と相手方(夫)の婚姻後の同居期間が約5年(婚姻前の同居期間を含めても 約8年)にすぎないのに比して、別居期間は既に約25年に及んでおり、
その間相手方から申立人に生活費等の支援がされたことはないなど、申立人と相手方との夫婦関係は20年以上にわたって形骸化しており、
婚姻関係を継続し難い重大な事由があることが明らかである上、相手方が正当な理由もなく調停期日への不出頭を繰り返し、誠実に申立人との離婚の話合いに応じようとしないなどの事情にかんがみると、
家事審判法24条により申立人と相手方とを離婚させる審判をするのが相当である。
家裁月報第62巻第4号
裁判所の判断
本件調停申し立て前において申立人が相手方宅を訪問した際の相手方の言動、本件調停が申立人からの離婚を求めるものであることを承知しながら、正当な理由もなく調停期日への不出頭を繰り返す相手方の態度等に照らすと、相手方は、その理由は不明であるが、現在でもなお、申立人との離婚に合意するつもりはないものと推認される。
しかし、申立人と相手方とは、婚姻後の同居期間が約5年に過ぎないのに比して、別居期間は昭和59年ころからすでに25年に及んでいること、
申立人と相手方との間には1子があるも、既に成人に達しており、扶養を要する状態にもないこと、
上記別居期間について、相手方から申立人に対して生活費等の支援がなされたことはなく、夫婦としての協力扶助の関係がないまま経過したことが明らかであるから、
申立人と相手方との夫婦関係は20年以上の長きにわたって全く形骸化し、夫婦としての実態が欠如する状態が継続して現在に至っているものと認められる。
したがって、申立人が相手方との離婚を強く望んでいる以上、申立人と相手方の婚姻については、これを継続し難い重大な事由があることが明らかであるというべきである。
そうすると、相手方が正当な理由もなく調停への不出頭を繰り返し、誠実に申立人からの話し合いに応じようとしないことおも勘案すると、家事審判法24条の調停に代わる審判により、申立人の申立ての趣旨に沿って、申立人と相手方を離婚させるのが、当事者双方間の衡平にも合致するものと考える。