大阪高 平21.8.13(決)
【別居中の夫に対する妻からの同居申立てを認容した原審判を取り消して申立てを却下した事例】
同居を命じる原審判がされた後も,抗告人が,相手方との婚姻生活の継続は不可能であるとの考えや,今後も相手方が激情して取り乱すなど衝動的な行動を取ることを繰り返す可能性があるとの考えを変えていないなどの事情に照らすと,
仮に同居の審判に基づき同居生活が再開されたとしても,夫婦共同生活の前提となる夫婦間の愛情と信頼関係の回復を期待することは困難であり,夫婦が互いの人格を傷つけ又は個人の尊厳を損なうような結果を招来する可能性が高いと認められるから,現時点において,同居を命じるのは相当ではない。
家裁月報62-1-95
抗告人と相手方は、婚姻中であり、互いに同居義務を負っている。(民法752条)。
そして、家庭裁判所の同居審判は、この同居義務の存在を前提として、その具体的内容を形成するものであるが(最高裁大法廷昭和40年6月30日決定、民集19巻4号1089頁)、
同居義務は、夫婦という共同生活を維持するためのものであることからすると、共同生活を営む前提となる夫婦間の愛情と信頼関係が失われ、仮に、同居の審判がされて、同居生活が再開されたとしても、夫婦が互いの人格を傷つけ又は個人の尊厳を損なうような結果を招来する可能性が高いと認められる場合には、同居を命じるのは相当ではない。
(東京高裁平成13年4月6日決定 家裁月報54巻3号66頁)