『子どもは、自分は無捨てられた、里子に出される、別れた親と二度と会えないといった恐ろしい状況を生々しく想像したり、母親が地震で死ぬとか、復讐心に燃えた母親に父親が殺されるなどという不気味な想像をしたりする。』
この年頃の子どもは、喪失感、疎外感、罪悪感、どちらの親につくかという心の葛藤にとりつかれることがある。彼らは、家を出たほうの親(たいていは父親)に二度と会えないのではないかと心から心配し、とりわけ、別の何かが自分たちにとってかわることを恐れる。「パパは新しい犬を飼うのかな。それとも新しいママや子どもとクラスのかな。」幼い少女は、複雑な空想の世界をつくりあげ、父親は「大人になって」自分たちのもとに戻ってくると言い張ったりする。
離婚協議中および離婚後の子どもの行動は、このような不安や空想を反映している。彼らは、泣く、気むずかしくなる、虚脱状態に陥る、集中力がなくなるといった反応を示す。調査によると、この年頃の子どもの半数は離婚後の一年間で成績が急激に下がっている。幼い少年の多くは父親への強い愛着を示しており、それはほとんど肉体的な苦痛にまで達していると思われるほどである。彼らは、女性が一人で切り回す家庭に取り残されたことをひどく不安に思うらしい。無意識のうちに、彼女が父親を追い出したと思い込んでいるのである。この年頃の子どもの多くは、自分の心の求めるままに(必ずしも親の入れ知恵ではなく)離婚を戦いとみなし、どちらかに味方しなければならないと感じている。たいていの子どもはこのような心の葛藤に苦しんでいるのである。
(セカンドチャンス離婚後の人生、ジュディス・S・ウォラースタイン著、草思社)
頻繁におねしょをするようになったり、空想の世界に没頭してぼんやりすることが多くなる子どもは多いようです。
また、得体の知れない恐怖を感じてか、悪夢にうなされる子どももいます。
どのようなことが自分の身におきるのか全くわからず、情報収集能力もない子どもらの恐怖は大人が想像する以上のものです。
わかりやすく説明をして、子どもが質問できる機会を作ってあげて下さいね。
阿部マリ