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婚姻費用と住宅ローンの関係


夫が家を出る形で別居をしているケースはよくあります。
夫名義のローン付住宅に妻が居住しているというものです。
そこで問題になるのが、婚姻費用と住宅ローンの関係です。
この場合夫は、婚姻費用に住宅ローンを含めることができるのか、それとも婚姻費用プラス住宅ローンを支払わねばならないのか。
これには4つの説と判例があります。(以下、家裁月報62-11から引用)


(1)全く考慮しない例
妻が全く無収入で(すなわち、基礎収入算定において留保された住居費が全くない。)、夫に別居の責任が大きい場合には、その住宅ローンの支払いを全く考慮しないこともある。

●大阪高決平21.9.25(平21(ラ)712公刊物未搭載)は、抗告人(夫)が妻以外の女性と不貞の関係を生じ、自宅を出てその女性と同居し、その住居費6万8000円と自宅の住宅ローン月平均9万4000円を支払っている事案である。
相手方(妻)は無職、無収入で9歳と11歳の子を監護養育している。抗告人と同居する女性には収入がない。
抗告審決定は、「住宅ローンの返済については離婚の際の財産分与において清算すべきであり、これを婚姻費用の分担額の算定に当たって考慮するのは相当ではない。」、「標準算定方式においては、抗告人(夫)の年収額の場合標準的な住居関係費である月額5万0040円が織り込まれているところ、本件では、相手方(妻)は別居後も相手方自宅に居住しており、他方、抗告人は相手方自宅の住宅ローンの他に家賃として月額6万8000円を支払っているから、住居関係費を二十に支払っていることになるが、住宅ローンの返済については、上記のとおり、財産分与において清算すべきであり、また、別居の原因は主として抗告人に あったと認められるから、上記家賃と標準的な住居関係費の差額を婚姻費用の分担額から控除するのは相当ではない。」として、婚姻費用として月額17万円の支払いを命じた。

(2)弁済額を総収入から控除する例
● 大阪高決平19.12.17(平19(ラ)310公刊物未搭載)は、抗告人(夫)が相手方居住のマンションの住宅ローン月額9万余円を支払っていた事例であるが、「抗告人(夫)が支払いをしている相手方(妻)居住家屋のローンについては、資産形成の側面もあるが、居住による利益は専ら相手方が得ているか ら、ローン返済額(年間176万円)を夫婦共通の経費として前期事業所得額から控除する。」とした。住宅ローンの支払いを基礎収入算定の際に控除する特別経費として扱うものといえよう。

(3)権利者が負担すべき住居費を控除する例
 権利者である妻は夫が住宅ローンを支払うことによってその支払いを免れているのであり、これは義務者が権利者に代わって支払っているに等しいから、算定された婚姻費用から権利者が本来負担すべき費用を控除することになる。

● 大阪高決平21.11.20(平21(ラ)1088公刊物未搭載)は、抗告人(夫)が相手方(妻)居住のマンションの住宅ローン月額11万7000円を支払っている事案であるところ、原審はそのうち3万円だけを婚姻費用の支払いとして認めたが、抗告人はその額が少ないと主張した。
抗告審決定は、「不動産の住宅ローンの支払いが資産形成の側面を有することは否定できず、このことは、当該不動産が債務超過状態にあるとしても異なるものではない。
そうすると、婚姻に費用の分担額から住宅ローンの支払額全額を控除するのでは、生活保持義務よりも資産形成を優先させる結果となるから相当でなく、このことは、相手方(妻)が本件住宅に居住している場合も同様である。
もっとも、抗告人(夫)が住宅ローンを負担することで相手方が住居費の負担を免れているということはできるから、相手方の収入に対応する平均的な住居関係費である約3万円を婚姻費用分担算定額から控除するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は不当とはいえず、抗告人の主張は採用できない。」とした。

● 大阪高決平21.11.26(平21(ラ)970公刊物未搭載)は、抗告人(夫)が別居した事案で、抗告人は自らの賃貸住宅の賃料を支払うほか、相手方(妻)及び未成年者が居住する自宅マンションの住宅ローン月額7万4424円、管理費月額1万4130円を支払っている。
抗告審決定は、標準算定方式によって算定した婚姻費用分担額には、「住居関係費の標準的な割合が考慮されているため、抗告人(夫)が相手方(妻)の住宅の住宅ローン及び管理費等を支払った上で、婚姻費用を分担すれば、抗告人は相手方の住居関係費を二重に負担することになる。
また、自宅マンションは、抗告人及び抗告人の父名義で購入し、抗告人と抗告人の父の資産形成の側面も有している。
したがって、本件において、抗告人において相手方が居住する自宅マンションの住宅ローン等を負担している間は、上記ウの標準的な婚姻費用分担額(標準的算定方式によって算定した婚姻費用分担額)から、標準的な住居関係費に相当する額を控除するのが妥当かつ公平であり、その額は、家計調査年報(標準的算定方式に関する上記文献(注:判タ1111号)294頁資料2)の住居関係費にかんがみ、月額4万円とするのが相当である」とした。

(4)義務者の標準的費用を考慮する例
●大阪高決平19.12.27(平19(ラ)17.1021公刊物未搭載)は、抗告人(夫)は、別居後、自己の住宅の賃料(月額約7万円)を負担するとともに、相手方(妻)らが居住している自宅の住宅ローン月額17万1000円の支払いを継続している。
抗告審決定は「相手方(妻)の居住する自宅住宅ローン等の婚姻中の債務については、本来は、離婚の際の財産分与の中で清算を問題とすべきであり、婚姻費用を問題とする本件において、一律に相手方がその半額を負担すべきであるとはいえない。
もっとも、抗告人(夫)が、自己の住居費を負担しながら、上記住宅ローンの支払いも継続するなど二重に住居費を負担している場合には、相手方が住居費の支払いを免れていることに着目して、公平の見地から、抗告人らの収入に見合う標準的住居費を婚姻費用分担額から控除して住宅ローンの支払いの事実を考慮するのが相当である。
抗告人の収入に対応する統計上の住居費は約月7万8000円である(判例タイムズ1111-294)から、この額を控除することとする。」とした。

日時:2011年1月11日 15:47
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