頻度の高い面会交流を行い、実態として共同監護のように子育てをしている別居夫婦は多いものです。
この場合、当事者間の話し合いでは、婚姻関係にあれば「婚姻費用」、離婚後であれば「養育費」を取り決めるにあたり、監護の割合によって算定表を修正することで合意することがあります。
しかし、家裁ではなかなかその主張が認められることがなくジレンマがありましたが、今回、監護の割合によって算定表を修正する判例が出てきましたので紹介します。(阿部マリ)
婚姻費用分担審判に対する即時抗告事件 広島高岡山支 平23.2.10(決)
〔定期的に一定期間子らが義務者のもとで生活している場合に、その費用負担を考慮し、標準的算定方式を修正して婚姻費用を算定した事例〕
子らが毎週一定期間義務者のもとで生活しており、当該期間中の子らの食費、被服費、おもちゃ代を義務者が負担しているなど判示の事実関係の下においては、標準的算定方式で算出される金額から、義務者の負担する費用相当額を控除して婚姻費用を算定するのが相当である。
裁判所の判断「婚姻費用分担額の算定」一部抜粋
「そして、抗告人が週末金曜日夕方から日曜日夕方までごとに子らとともに生活し、その間の上記食費等の費用を負担していることについては、婚姻費用のうち子らに係る費用分として推定できる、標準的な生活費の割合である(100+55+55)分の(55+55)のうち、2割弱程度(日数から見ると7分の2であるが、認定した支出項目の全体に占める割合や食費等について相手方の負担が軽くなる面をも勘案する。)に相当する月額5000円を抗告人が負担しているものとし、これを上記5万円から差し引くと、抗告人が相手方に支払うべき婚姻費用額は月額4万5000円である。」
家裁月報63-10-53