〔義務者による住宅ローンの支払を考慮し、標準的算定方式を修正して婚姻費用を算定した事例〕
婚姻費用分担申立事件
東京家 平22.11.24(審)
義務者が権利者の居住する自宅の住宅ローンを負担しているなど判示の事情の下においては、標準的算定方式で算出される金額から、権利者の総収入に対応する標準的な住居関係費を控除して婚姻費用を算定するのが相当である。
(裁判所の判断一部抜粋)
本件では、義務者(申立人)が、権利者(相手方)の居住する自宅の住宅ローンを負担してお り、いわば義務者が自己の住居費と権利者の住居費を二重に負担している状態にあるから、当事者の公平を図るには、婚姻費用分担金を決定するに当たって、上記試算結果から、権利者の総収入に対応する標準的な住居関係費を控除するのが相当である。(判例タイムズ1208号30頁以下参照)。
そして、相手方の総収入に対応する標準的な住居関係費は、月額3万円弱であるから(判例タイムズ1111号294頁資料2の表中、実収入16万4165円の欄を参照)、本件においては、上記試算結果の下限額である30万円から3万円を控除した27万円を申立人が負担すべき婚姻費用分担金の額とするのが相当である。
家裁月報63-10-61