婚姻費用分担申立事件 横浜家 平24.5.28(審)
【婚姻費用の分担額の算定にあたり、出産育児一時金の支給を考慮した事例】
出産育児一時金は、少子化対策の一環等として支給される公的補助金であり、それが支給される以上、出産費用はまずそれによって賄われるべきであるから、相手方が出産のための費用として申立人に交付した金員から、出産育児一時金では不足する出産費用のうち相手方が負担すべき金員を控除した金額は、婚姻費用の前払とみなすのが相当である。
家裁月報65-5-83
阿部コメント
同居拒否の妻からの婚姻費用分担申立事件です。
結婚後一度も同居することなく、結婚式さえ挙げていません。
裁判所の判断としては、同居していないから婚姻費用の分担義務が生じないというものではなく、同居しなかった経緯、理由を総合的に判断して婚姻費用の分担義務の判断をすべきであるということで、婚姻費用算定表通りの額となりました。
出産費用の夫の負担額は(出産費用−出産一時金)÷2と判断されています。
出産費用の負担は全額夫ではなく2分の1であること、出産費用から出産一時金を控除して実際の負担額で計算したこと、夫が妻に出産費用として渡したお金は婚姻費用の前渡しと判断されたことが特徴です。