境界性パーソナリティ障害のパートナーに何か伝えるときに、役立つテクニックを紹介します。これを念頭においておけば、話し合いができる可能性が高くなるものと思います。
紹介するのは、DEARというテクニックです。これは、マーシャ・M・リネハン博士によるもので、描写、表現、主張、強化を表します。
ノンボーダー=みなさん、境界性パーソナリティ障害=パートナーと表現しています。
出典「愛した人がBPD(=境界性パーソナリティ障害)だった場合のアドバイス」著 ランディ・クーリーガー/K/A/ウイリアムージャストセン
(1)描写
まず、誇張したり批評したりすることなく、みなさんが見た状況をそのまま描写して下さい。その状況について、みなさんがどのように感じたかについて説明する必要はありません。できる限り客観的に、明確に描写して下さい。ビデオカメラになったつもりで話すといいかもしれません。起こったまま正確にとらえるのです。批判的な言葉や、自分に都合よく事実を歪めることは慎んで下さい。
パートナーの内的な動機や感情が自分にはわかっているという主張は控えるべきでしょう。
(2)表現
次に、状況についてのみなさんの感情や意見を明確に表現して下さい。
「相手のせいでこんな気持ちにさせられた」ではなく、自分の感情を正確に表現します。
パートナーがみなさんに投影しようとする感情と対比させながら自分の感情を明確にして下さい。
(3)境界の主張
自分の境界を主張します。
境界は明確でわかりやすいものにして下さい。
そして再度、みなさんがなぜそれを求めるのか説明します。
それが正しいことだから、望ましいから、または普通だから、あるいはそうするのがパートナーにとってふさわしい行動だから、という理由でではありません。
そのような理由からではなく、みなさん自身が個人的にそうしたいから、自分をこのように扱ってほしいと思うから、パートナーがそのように行動してくれると自分の気分がよくなるから、そう説明して下さい。
価値判断や双方の立場の「良し悪し」をめぐる議論はさけて下さい。
ただ、そうするだけでも言い争いの半分は削除できるはずです。
そして、境界を設定することの利点を強調して下さい。
このままの状態を続けていくとどのようなデメリットがあるのか、そしてみなさんにそのような状態を続けるつもりがないことを、パートナーに説明して下さい。
パートナーは、みなさんが本気かどうかを確かめようと、みなさんのことを試し、要求をエスカレートさせてくるでしょう。
したがって動じる事なく一貫した姿勢を崩さないことが大切です。
みなさんは、自分の考えを明確に主張し、そしてそれを最後まで貫いて下さい。
パートナーが何と言おうとも、その多くは彼らが彼ら自身について感じていることなのです。
みなさんの境界を、精神的な障害をもつ人に決めさせてはいけません。境界を設定することは、彼らのためでもあるということを心に留めておいて下さい。
(4)強化
さらに、何をしたら(又は何をしなかったら)どのような結果となるかをパートナーに理解させます。
たとえば、パートナーが最初に取り決めた日時にお金を返さないようならもう食事を出さないようにする。さらにそれから1ヶ月たっても返さないようなら鍵を変える、というように言葉と行動を一貫させます。