境界性人格障害やモラルハラスメントなどが、離婚原因となっているケースが増えてきているように思います。
境界性人格障害と言えば、映画「17歳のカルテ」がありますね。
ウィノナ・ライダーがBPDの主人公スザンナです。
アンジェリーナ・ジョリーが反社会性人格障害のリサとして出演していますが、主人公のような輝き方をしています。
スザンナ
【境界性人格障害】
Borderline Personality Disorder
<対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性。成人期早期に始まる。>
■主な症状
(1)見捨てられることに異常に敏感になり、対人関係が不安定。
(2)浪費、過剰なセックス、無謀な運転、暴飲暴食など自分を傷つける行為。
(3)自殺の行動、素振り、脅し、手首を切るなど自傷行為の繰り返し。
(4)イライラ、不安、慢性的な空虚感。
(5)激しい怒りにかられ、それを抑えることができない。
■原因
患者の母親自身が境界症侯群的障害を内蔵していることが多い。
母親自身に見捨てられることへの強い不安があるため、自立しようとする子供を精神的に応援できず過度に拘束したり、分離していく子供の不安に対して適切な愛情が注げない。
そのため子供は、支配や、母親の愛情を感じられないという状況に置かれて混乱、自身も見捨てられることに非常に敏感になり、抑うつが生じる。
■日本では?
近年の母子関係の変化(子供を見捨てる母親の増加)と関連して注目されている。
リサ
【反社会性人格障害】
Antisocial Personality Disorder
<他人の権利を無視し、侵害する。悪事に関する悔悟の念が全くない。>
■主な症状
(1)社会的規範に適合できず、犯罪を犯す。
(2)自分の利益や快楽のために人をだます。
(3)身体的な喧嘩、暴力を繰り返し、自分及び他人の安全を考えない。
(4)良心の呵責の欠如。
(5)15歳以前の行為障害(家出、盗み、放火など)。
■原因
小児期あるいは早期青年期より始まり成人後も続くので、遺伝による生来性のものか、人生の早い段階で環境により生ずるものと考えられる。
■日本では?
欧米に多く、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどには少ない。
しかし、最近の社会構造、親子関係、食生活、文化の変化により増加しつつあると考えられる。
ジヨージーナ
【空想虚言症】
Phantastic Pseudology
<架空のことを細部にわたって、いかにも真実らしく語る。>
■主な症状
(1)空想し物語るうちに白分の嘘を真実と思い込む。
(2)空想された架空の立場、役割に心から成りきって行動する。
(3)現実との矛盾に直面すると、比較的容易に改変する点が妄想とは違う。
■原因
記億、知覚に障害はなく、主に願望に基づいて空想する。
劣悪な環境や生い立ちを否定しようとして虚言者となることもある。
両親が適切な注意を与えないことにより症状が固定化し、虚言が他人に信じられることにより発展する。
■日本では?
特別多い、最近増えたということはない。
ジヤネット
【神経性無食欲症】
Anorexia Nervosa
<食事をとらない。>
■主な症状
(1)正常体重の最低限を維持することの拒否。
(2)体重が不足しているのに、体重が増えることに対する強い恐怖。
(3)月経が止まる。
■原因
通常思春期に発症し、形を変えながら生涯を通して持続することもある。
患者の母親は支配的、父親は無関心であることが多い。
太ることに対する恐れが文化的に一般化していることも原因の一つ。
様々な性格障害の上に起こる心身症的な症状。
■日本では?
食べ物が豊富にあり、痩せた女性が魅力的と見られる社会、つまり欧米や日本、で多く見られる。
デイジー
【神経性大食症】
Bulimia Nervosa
<無茶食いを繰り返す。>
■主な症状
(1)食べることを止められない。
(2)体重の増加を防ぐために、嘔吐、下剤、利尿剤、浣腸など不適切な行為を繰り返す。
(3)体型の変化に過剰に反応する。
(4)自傷行為や自殺の危険性もある。
■原因
元々気分の障害や不安症状が存在している場合が多い。
そうした精神状態を解消しようとして大食(過食)に走ると考えられる。
■日本では?
近代化された国ほど多く見られるので、戦前よりははるかに多い。
ポリー(自分の頭に火をつけた時)
【反抗挑戦性障害】
Oppositional Defiant Disorder
<拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式。>
■主な症状
(1)かんしゃくを起こす。
(2)大人の要求、規則に従うことに反抗、拒否する。
(3)故意に他人を苛立たせる。
(4)自分の失敗を他人のせいにする。
(5)意地悪で執念深い。
■原因
次々に異なった保護者に変わることによって、子供の世話が崩壊している家庭や、厳格で一貫性のない、または無視するような養育態度の多い家庭に見られる。
■日本では?
特に多いかどうかはわからない。
ポリー(現在)
【外傷後ストレス障害】
PTSD
<危うく死ぬような出来事を体験、強い恐怖、無力感、戦標に襲われる。>
■主な症状
(1)外傷的出来事についての恐ろしい夢を反復して見る。
(2)外傷的出来事のフラッシュバック。
(3)外傷的出来事のきっかけを暴露されたときの心理的苦痛、生理的反応。
(4)外傷に関連した思考、感情、会話、活動、場所の回避。
(5)仕事、結婚など正常な一生を期待しない感覚。
■原因
生命を脅かす非常に強いストレス因子が原因。
■日本では?
近年、地下鉄サリン事件、阪神大震災などにより広く認められるようになってきている。
少女たちのカルテ
■監修:精神分析医 作田明
参考文献
●「境界例をめぐる最近の動向」(西園昌久 福島章編)金剛出版
●「精神医学事典」弘文堂
●「アメリカ精神分析学会精神分析事典」(R・E・ムーア B・D・ファイン編 福島章監訳)新曜社
●「DSM-IV:アメリカ精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル」医学書院
17歳のカルテHPから引用
元記事/2006.05.28 Sunday/ 阿部マリ