オーストラリアの裁判所による離婚判決が民事訴訟法118条の外国判決の承認要件を充足していないとして離婚無効確認請求を認容した事例
東京家 平19.9.11(判)
オーストラリア人の夫(被告)が、オーストラリアの裁判所で得た離婚判決(本件離婚判決)に基づき日本の戸籍窓口に届出た離婚につき、日本人妻(原告)が離婚無効確認を求めた事案において、本件事案に照らし、オーストラリアの裁判所には国際裁判管轄があるとは認められないから、本件離婚判決は民事訴訟法118条1号に違反し、また、原被告間の婚姻関係が修復される可能性がないとはいえない上、仮に破綻しているとしても、被告は有責配偶者であり、我が国の裁判所において被告からの離婚請求は認められないことなどから、本件離婚判決の内容は同条3号に違反し、いずれにせよ我が国においては効力を有しないとして、原告の請求を認容した事例。
※オーストラリア家族法では、婚姻関係が破綻し、修復不可能な状態にあることが、離婚を申立てる唯一の根拠であると定められている。婚姻関係が破綻し修復不可能な状態にあることの立証義務は離婚の申立人が負い、その要件としては、両当事者が申立日からさかのぼって12ヶ月間継続して別居していることが唯一規定されているのみである。そして、破綻に至る実際上の理由や原因、責任の所在については一切問われず、また、離婚を成立させるために両当事者が承諾する必要もない。
元記事/2008.03.13 Thursday/阿部マリ