別居調停成立から約13年経過した夫婦についての有責配偶者である夫からの離婚請求
同居期間約8年(約2年の家庭内別居期間を含む。)、別居調停成立後約13年の夫婦につき、有責配偶者である夫からの離婚請求を棄却するのは相当ではないとして、原判決が取り消され、どう請求が認められた事例
(大阪高判平19・5・15判夕1251・312)
阿部コメント
本件は有責配偶者からの離婚請求であり、未成熟子の子どもも2人(18歳と16歳)いますので、
最高裁大法廷昭和62年9月2日判決の有責配偶者からの離婚請求3条件満たしていないケースです。
1)年齢及び同居期間と対比して相当の長期間の別居
2)未成熟子の不存在
3)相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて苛酷な状況におかれることがないこと。
しかし、裁判所は、1)当分の間別居を続ける旨の調停が成立した後約13年間別居しており、別居後内縁女性と約8年間同居生活を続けているのに対し、婚姻後の同居期間は約8年であること、2)子ども2人は高校生に成長しており、経済的な面を別にすれば離婚によって大きな影響を受ける可能性が低いこと、3)妻は約5年間パート勤務をしており、養育費の支払い等を考慮すれば、離婚により精神的、社会的、経済的に極めて苛酷な状況におかれる事情は認められないこと、4)控訴審での一部和解で離婚慰謝料150万円及び子どもの大学進学費用150万円の支払を約束したこと、から離婚を認めました。
事実経過
1 回目離婚調停申立→5ヵ月後別居→2ヵ月後別居調停成立→6年後2回目離婚調停申立→1年後3回目離婚調停申立→6ヵ月後離婚訴訟提起→9ヵ月後判決(有責配偶者からの離婚請求として離婚が認められず)→5ヵ月後全件離婚訴訟の控訴審判決(控訴棄却)確定→2年後4回目離婚調停申立→8ヵ月後離婚訴訟提起→9ヵ月後第一審判決(棄却)→9ヵ月後控訴審判決で離婚成立
元記事/2008.12.17 Wednesday/阿部マリ