有責配偶者からの離婚請求が認められた判例を2件紹介します。
元記事/ 2007.03.15 Thursday
1.別居期間9年8ヶ月の有責配偶者からの離婚請求が認められた事例(最高裁平成5年11月2日第三小法廷)
同居期間17年2か月、別居期間9年8か月の夫婦につき、破綻の責任は主として不貞をした妻にあるが、夫にも少なからぬ責任があり、別居期間が相当の長期間に及んでいるとして、妻からの離婚請求を認めている。
原審は、妻は不貞により破綻を決定的にした有責配偶者であるが、年齢(妻53歳、夫54歳)、同居期間(17年2か月)に対し別居期間は9年8か月に及んでいること、
夫としての責任を果たさず暴力を繰りかえした夫にも相当の責任があること、妻の不貞は2年間で終わっていること、夫に婚姻生活を回復する積極的な意欲は窺えないこと、夫が離婚によって苛酷な状態に置かれるとは認められないことなどから、
妻の離婚請求が信義誠実の原則に反して許されないとはいえないとして、第一審判決を取り消して請求を認容した。
2.高校生の未成熟子がいる場合において長期間(14年)の別居等を理由として有責配偶者からの離婚請求が認容された事例(最高裁平成6年2月8日第三小法廷判決)
婚姻後の同居期間約15年、別居期間約14年で、未成熟子のある夫婦について、同居期間、婚姻関係の回復の可能性、未成熟子の年齢、有責配偶者の扶養義務の履行状況、離婚に伴う給付の期待等諸般の事情を考慮して、有責配偶者からの離婚請求を認めた。
有責配偶者からされる離婚請求において、未成熟子がいる場合でも、その一事をもって請求を排除すべきものではなく、同請求が信義誠実の原則に寺師てなお容認されるかどうかの判断要素(最大判昭62.9.2判時1243.3)を総合的に考慮して前期請求が信義誠実の原則に反するとはいえないときは、請求を任用することができるとした。