平成18年4月発表の警察庁「平成17年の犯罪情勢」に“配偶者による暴力事件”という項目があります。
ここには,平成8年から平成17年までの配偶者による殺人,傷害及び暴行事件の検挙件数の推移表があります。
抜き出してみると下図のようになります。
【殺人】
夫によるもの(平14)120(平15)133(平16)127(平17)126
妻によるもの(平14) 77(平15) 82(平16) 79(平17) 92
【傷害】
夫によるもの(平14)1197 (平15)1211(平16)1143(平17)1264
妻によるもの(平14) 53 (平15) 58(平16) 55(平17) 78
妻から殺害される夫の数が以外に多いと感じる方が多いのではないでしょうか?
それに比べて,傷害事件で夫が被害者となった数が極端に少ないことを考えると,夫は死ぬまで助けを求めることなく,我慢している方が多いのではと考えてしまいます。
実際に,夫が被害者のDV相談室はほとんどありません。
女性被害者が前提となっているため,男性に来てもらっては困るという対応のところが多いように思います。
当オフィスでは,月間100名以上の男性が相談されますが,妻から受ける身体的暴力の割合は,1〜3%ほどであり,精神的な暴力(モラハラ)を含めると1割程度になります。
【よくある身体的暴力】
1.包丁を突きつけられる
2.就寝中に水をかけられおぼれそうになる
3.物で殴る
4.首を絞められる(寝ているときなど)
5.かみつく
6.一晩中ベランダに出され部屋に入れてもらえない
【モラハラ】
1.1日500円(1000円や1500円というケースもある。)などのお金しか渡してもらえない。当然,食事は作ってもらえないので,その金額で食事をすることになる。
2.能無しだ役立たずだと罵られ,死ねば生命保険が入るから死ねと言われる。
3.家でゴミを出すことが許されず,ゴミはコンビニなどに捨ててこなければならない。
4.くさい,気持ち悪い,と,ばい菌扱いされ,家に居場所がない。
暴力やモラハラを行う妻は,被害者意識が強く,「私は被害者だから何をしても構わないはず。」という理論を持っています。
どのような被害にあった被害者なのかと言いますと,「あんたみたいな役立たずと結婚して人生が台無しになってしまった被害者」なのだそうです。
だから,「一生かけて償わなければならない。よって,離婚などで解放するわけにはいかない。」ということのようです。
元記事/2007.04.10 Tuesday/ 阿部マリ