別居後、女性関係のあった夫からの離婚請求について、妻の夫の仕事に対する無理解、異常・冷酷とも言うべき虐待によって別居の頃までに婚姻関係が破綻したとして、請求を棄却した原判決が取り消され、夫の離婚請求が認められた事例
(東京高判昭58・8・4判時1091・89)
阿部コメント:妻は、夫が仕事で忙しく帰宅が遅いと文句を言う反面、給料が安いと責めるなど矛盾した非難をする、夫の会社の上司に夫の信用を失墜させるようなことを吹聴する、夫が風呂上りにベランダに出ている間に内側から鍵をかけ一晩中裸で放置したり、子供用二段ベッドで就寝することを強要したり、夫のネクタイや背広をはさみで切ったり、寝ている夫にペーパーナイフで切りかかったり、水や味噌汁等をかけたり、と妻の夫に対する虐待はエスカレートしていき別居しています。
モラルハラスメントやDVの相談では、夫の背広をはさみで切り刻むことや、仕事が遅くなったときに家に鍵をかけてしまい家に入れない、会社に夫を貶めるような電話をする事例はよくあります。
別居のときに協力してくれた女性と男女の関係になることも、よく聞きます。
この判決は、別居時を婚姻関係の破綻とせずに、妻の暴力暴言が激しくなったころを婚姻破綻として、夫は婚姻関係が破綻した後に他の女性と異性関係になったものとして夫は有責配偶者ではなく、夫からの離婚請求を認めています。(ただし、第一審判決では結論が違ったようです。)
元記事/2008.12.15 Monday/阿部マリ