〔戸籍法114条による戸籍訂正許可の申立てが却下された事例〕
東京高平23.1.24(決)
家裁月報64-3
裁判要旨
抗告人とその内妻との婚姻届について、抗告人又はその親族から2度に渡って不受理申出書が提出され、
抗告人が警察に対し、内妻らが婚姻届を偽造したなどとして告訴状を提出したが、
上記不受理申出書はいずれも受理されず、上記婚姻届に沿った戸籍の記載がされたなどの判示の事情の下では、
戸籍の記載自体又は届出書自体から本件婚姻届出の無効が明らかであるとは認められず、
戸籍訂正の結果が抗告人及びその内妻の身分関係に重大な影響を及ぼすおそれがない場合にあたらないことは明らかであって、
上記婚姻届に基づく戸籍の記載の訂正(抹消)につき、戸籍法114条による戸籍訂正の手続きによることは許されない。
抗告人とBは、平成22年当時、内縁関係にあったものである。
抗告人は、同月×日、発作により緊急入院し、同月×日、抗告人の二男であるCは、抗告人名義の婚姻届不受理申出書を代筆して作成し、区役所あて郵便により発送した。
前記不受理申出書は、同月×日区役所に到着したが、申出人である抗告人本人の出頭がなく、受理されることなく保留された。
抗告人は×日退院した。
同月×日、抗告人を夫、Bを妻とする婚姻届が区役所に提出されて受理された。
抗告人は、同年×月×日、婚姻届不受理申出書を提出した。
抗告人は、同年×月×日付で●●警察署に対し、B及び同人の娘であるDが共謀の上、抗告人名義の婚姻届出書を偽造した上、真正に成立したもののように装い提出して行使し、区役所職員をして戸籍に不実の記録をさせようとしたがその目的をとげなかったものとして、有印私文書偽造罪、偽造私文書行使罪、電磁的公正証書原本不実記録未遂罪の罪名により告訴状を提出した。
同年×月×日付及び同年×月×日付の婚姻届不受理申出書はいずれも受理されず、同年×月×日、抗告人の戸籍に、Bが妻として記載され、抗告人の身分事項、婚姻欄に婚姻の記載がされた。