〔婚姻中に夫から妻に贈与された実質的夫婦共有財産である不動産が財産分与の対象とならないとされた事例〕
財産分与審判に対する抗告事件
大阪高 平23.2.14(決)
家裁月報64-1-79
婚姻中に相手方が抗告人に対してした不動産の贈与は、抗告人が相手方による不貞行為を疑い、現に相手方による不貞行為を疑われてもやむを得ない状況が存在した中で、抗告人の不満を抑える目的で行われたものであり、清算的要素をもつ上記贈与により上記不動産中実質的夫婦共有財産である部分についても確定的に抗告人に帰属させるのが当事者の意思であったなど判示の下では、上記不動産は、抗告人の特有財産となったと認めるのが相当であって、これを清算の対象としなければ公平の観点や社会通念上不当であるような特段の事情が認められない以上、財産分与の対象とならない。