東京家平22.6.23(審)
家裁月報63-2
<判示事項>
将来の退職金が財産分与の対象となるとされた事例
<裁判要旨>
相手方(元夫)が勤続30年超の勤務先を退職すれば支給を受ける蓋然性の高い退職金は、財産分与の対象となる夫婦の共有財産に当たるところ、本件における一切の事情を考慮すれば、相手方に対し、申立人(元妻)への財産分与として、相手方が別居直前に勤務先を自己都合退職した場合に支払われるべき退職金額に同居期間を乗じてそれまでの在職期間を除して算出された額の5割に相当する金額につき、勤務先からの退職金の支給を条件に、その支払いを命ずるのが相当であ る。
<阿部コメント>
退職金の財産分与の基準は平成20年の別居時とされました。
そしてお決まりのように、年金分割は婚姻から離婚までの期間の按分割合を“0.5”です。
昭和58年 婚姻
昭和63年 妻の家族と同居
平成13年 家庭内別居開始、夫婦間の会話はなく筆談のみ
平成18年 妻から離婚調停の申立て
平成19年 妻が離婚訴訟提訴
平成20年 夫が家を出る形で別居
平成20年 離婚判決
平成13年の家庭内別居、平成18年の離婚調停、平成19年離婚訴訟、とありながらも、裁判所は、財産分与の基準となる期間はその同居期間を基準とするのが相当と判断しました。