1.松山家平19.5.31(審)
家月59巻9号
年金分割について請求すべき按分割合を、0.5と定めた事例
年金分割の対象期間における保険金納付に対する夫婦の寄与は、特別な事情がない限り、互いに同等と考えるべきであるところ、本件においては、特別な事情があるとは認められないから、妻(申立人)と夫(相手方)との間の年金分割について請求すべき按分割合を、0.5と定めるのが相当である。
裁判所の判断
対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与は、特別の事情の無い限り、互いに同等とみるのを原則と考えるべきであるところ、本件においては、相手方から書面照会に対する回答書の提出もなく、かかる特別の事情があると認めることはできないから、申立人と相手方との間の年金分割の請求すべき按分割合を0.5と定めるのが相当である。
元記事/2007.12.20 Thursday
2.【年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定めた原審判が是認された事例】
請求すべき按分割合に関する処分申立認容審判に対する即時抗告事件
広島高 平成20.3.14(決)
抗告人の主張する2年4か月の別居期間は、請求すべき按分割合を定めるに当たって斟酌しなければ不相当というべきまでの明白な破綻別居期間と認定することはできず、相手方による財産の浪費又は隠匿は、仮にあるとしても財産分与等で解決すべき事項であるから、いずれも按分割合を定めるに当たって双方の寄与を同等とみることの例外を認めるべき特別な事情に当たらない。
3.請求すべき案文割合に関する処分申立審判に対する即時抗告事件
名古屋高 平成20.2.1(決)
【年金分割についての請求すべき案文割合を0.5と定めた原審判が是認された事例】
厚生年金保険等の被用者年金が、婚姻期間中の保険料納付により夫婦双方の老後の所得保障を同等に形成していくという社会保障的性質及び機能を有していることに鑑みれば、特段の事情がない限り、按分割合は0.5とされるべきであるところ、短い同居期間、婚姻期間中の借金、浪費、蓄財の事情は、原則的按分割合 0.5を変更すべき特段の事情とはいえない。
元記事/2009.04.16 Thursday/阿部マリ
4.請求すべき按分割合に関する処分申立事件
東京家 平成20.10.22(審)
【年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定めた事例】
対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与は、特別の事情がない限り、互いに同等と見るのを原則と考えるべきであり、また、法律上の夫婦は、互いに扶助すべき義務を負っているから、別居により夫婦間の具体的な行為としての協力関係が薄くなっている場合でも、夫婦双方の生活に要する費用が夫婦の一方又は双方の収入によって分担されるべきであるのと同様に、それぞれの老後等のための所得保障についても夫婦の一方又は双方の収入によって同等に形成されるべき関係にあるところ、別居後も申立人(妻)が相手方(夫)に対し扶助を求めることが信義則に反していたというような事情は見当たらないから、別居期間中に関し ても、相手方の収入によって当事者双方の老後等のための所得保障が同等に形成されるべきであって、約13年間の別居期間中の申立人の寄与を争う相手方の主張する事情は、保険料納付に対する夫婦の寄与が互いに同等でないと見るべき特別の事情に当たるとはいえない。
家裁月報第61巻3号
5.請求すべき按分割合に関する処分申立事件
静岡家浜松支 平成20.6.16(審)
【当事者間に離婚時年金分割をしない旨の協議があるとして、請求すべき按分割合に関する処分の申立てを却下した事例】
離婚当事者は協議により年金分割をしないとの合意をすることができ、このような合意は公序良俗に反するなどの特別の事情がない限り有効であると解されるところ、本件当事者間の離婚協議における合意には、これを無効とするような事情がなく有効である。