出典:家庭の法と裁判24
2020年の家事事件の面会交流の間接強制の判例索引です。
【46】直接的な面会交流についての間接強制の決定がされた後、義務者が、面会交流の内容が事情変更により間接的な面会交流に変更されたことなどを理由として、以前の間接強制決定に基づく強制執行の不許を求めたのに対し、変更前の不履行についての執行も含め、強制執行が信義則に反し、権利の濫用であって許されないとした事例
大阪高決平成30年12月21日 請求異議控訴事件---23号53頁
【47】子を面会交流させることを内容とする債務名義に基づき抗告人が間接強制を申し立てた事案において、相手方が抗告人との別居から約3年間面会交流を拒否し続けたことなどから、相手方に面会交流させる義務を継続的かつ確実に履行させるためには、相手方の収入や経済状況等を踏まえ、相手方に面会交流を心理的に強制させるべき相応の強制金の支払いを命じる必要があるなどとして、強制金の額を不履行1回につき5万円とした原決定を変更し、不履行1回につき20万円とした事例
大阪高決平成30年3月22日 間接強制に対する執行抗告事件---17号41頁
【48】面会交流審判に対する抗告事件において定められた義務を履行しないとして相手方が抗告人に対して間接強制の申立てをした事案について、原決定が、抗告人が義務を履行しないときは、相手方に対し不履行1回につき100万円の割合による金員を支払うことを命じたことに対し、抗告審は、従前の経緯や抗告人の主張からすると抗告人に対し少額の間接強制金の支払いを命ずるだけでは面会交流の実現が困難であると解されること、抗告人の年収等、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、100万円は過大であり、本件における間接強制金を不履行1回につき30万円と定めるのが相当であるとした事例
東京高決平成29年2月8日 間接強制決定に対する執行抗告事件---14号75頁
【49】相手方が、抗告人らに対し、相手方を未成年者(15歳)と面会交流させる義務を履行しなかったとして、間接強制の申し立てをした事案について、間接強制をするためには債務者の意思のみによって債務を履行することができる場合であることが必要であるが、本件未成年者のような年齢の場合はこの協力が不可欠である上、本件未成年者は相手方との面会交流を拒否する意思を強固に形成しているところ、本件未成年者の精神的熟度を考慮すれば、抗告人らに置いて本件未成年者に面会交流を強いる事は未成年者の判断能力ひいてはその人格を否定することになり、かえって未成年者の福祉に反することから、本件債務は債務者らの意思のみによって履行することはできず履行不能であるなどとして、相手方の間接強制の申し立てを却下した事例
大阪高決平成29年4月28日 間接強制決定に対する執行抗告事件---13号48頁