【訴訟上の和解が無効であるとしてされた期日指定の申立てに対し、訴訟終了宣言をした事例】
家月61巻5号
和解金が支払われたら離婚する趣旨で和解した旨の被告の主張のように、和解金が支払われた時点で離婚が成立するような条件付きの身分行為を成立させることはあり得ず、
また、口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によってのみ証明することができるところ、調書記載の和解条項の記載の内容で和解が成立したことに反する証拠はなく、その他和解について、被告の錯誤を認めるに足りる証拠もなく、本件訴訟は和解によって終了した。
離婚請求事件、同反訴請求事件 東京家 平20.4.23(判)
和解条項
(1)原告と被告は、和解離婚する。
(2)D(平成19年×月×日生)の親権者を原告と定める。
(3)原告は、被告に対し、和解金として金120万円の支払い義務のあることを確認する。
(4)利害関係人は、被告に対し、前項の債務を連帯保証する。
(5)原告と利害関係人は、被告に対し、連帯して、(3)の記載の金員を、次のとおり分割して支払う。
平成20年×月末日限り、金10万円。
平成20年×月から平成24年×月まで毎月末日限り、金2万円。
(6)上記分割金の支払いを怠り、その金額が4万円に達したときは、期限の利益を失い、原告と利害関係人は、被告に対し、残金に対する期限の利益を失った被の翌日から支払い済みまで年10パーセントの遅延損害金を支払う。
(7)被告は、その余の請求を放棄する。
(8)原告と被告との間、被告と利害関係人との間には、本和解条項に定めるほかに債権債務がないことを確認する。
(9)訴訟費用及び和解費用は各自のふたんとする。
これに対して、被告はたしかに本件訴訟で和解はしたが、上記口頭弁論調書に記載されたような和解をした覚えはないと主張した。
裁判所の判断
被告主張のように和解金を支払った時点で離婚が成立するような条件付きの身分行為を成立させることは、あり得ないのであり、また、本件和解条項(8)のいわゆる清算条項、(9)の訴訟費用の合意は、どのような若いにおいても一般的に合意されるもので、これを欠くような和解はほぼあり得ないと思われる。
いずれにしても、当裁判所の口頭弁論調書記載の本件和解条項の記載に誤記はなく、この内容で和解が成立しており、これに反する証拠はない。