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将来の養育費の増減額に影響する離婚時の取り決め


1.養育費増減額の要件
(1)増減額の要件
離婚のとき決めた養育費の額は、想定しえなかった事情の変更があれば増減額できるとされています。(増減額の要件です。)
いいかえれば、養育費の取り決めをしたときに、既に判明していた事情や当然に予見しえた事情はもとより、予見しえた事情がその後現実化したにすぎない場合はこれに当たらないということです。

(2)具体的な事情
想定しえなかった事情の変更としてよくあるのは、増額は子どもが成長して進学等の費用が増加したことなどが、減額は権利者の再婚相手と子どもが養子縁組をしたことや、義務者が再婚をして再婚相手の子どもと養子縁組をしたり子どもが産まれたりという事情です。

2.養育費の増減額に影響する離婚時の取り決め
(1)養育費算定表と事情変更
離婚時に取り決める養育費の額は、将来的に増減額をするときの養育費の額に影響すると考えて決めるに越したことはありません。

すなわち、養育費算定表より高い養育費の額を取り決めた場合には、増減額のときにも同じようにそのときの養育費算定表に照らした額より(同じような割合で)高い金額で決まる可能性があるということです。

早く離婚したいばかりに算定表よりも高い養育費で合意しようと考えている方は注意が必要です。

以下、いくつか判例を紹介します。

@東京高決平成30年5月31日
前件離婚調停後、義務者から、自身の再婚、再婚相手の連れ子との養子縁組、再婚相手との第一子の出生等が減額自由として主張され、他方権利者から、義務者の収入の増加、未成年者らの進学や病気等が増額事情として主張された。
結果:前件調停時の養育費の取り決めが算定表の額を3万円ほど上回っていることを考慮し、変更後の養育費の額も、算定表の額に3万円を加算した額に変更された。

A東京高決平成30年11月8日
10年前に成立した調停条項で養育費を月額5万円と定めたのに対し、父が前件調停後に再婚をしたこと、再婚相手との間の子を認知したこと、連れ子と養子縁組をしたこと、再婚家庭に子が誕生したことを理由に減額請求をした。
結果:生活費指数から基礎収入を按分し、未成年者の養育費を算定すると、養育費は月額2万5千円となるが、前件調停時の養育費額は、算定表の4分の5倍になっていると認められ、その後の養育費の支払い状況等を総合考慮すると、減額後の養育費の額は、前記の4分の5倍程度に当たる月額3万円とするのが相当とされた。

B東京高決平成30年9月28日
前件調停時に父が算定表によれば月額5万円なのに2倍の額(10万円)と定めていたことで、父が転職して年収が下がったことを理由として減額を求めたところ、算定表によれば月額3、4万円だが月額8万円とするのが相当とされた。

C東京高決平成31年5月31日
前件調停時に算定表の1.18倍の養育費を定めた。その後父は退職して雇用保険給付を受けることになり養育費の減額を求めたところ、雇用保険給付を年収換算して算定表に照らした1.18倍の2万6000円が相当とされた。

出典 家庭の法と裁判22 2019oct
以上

追記 2020年10月5日

札幌高決平成30年1月30日

離婚時に公正証書で養育費月額4万円と定めたが、離婚後に義務者が再婚し、再婚相手の子と養子縁組をした事情の変更を理由として減額を求めた。
算定表(標準算定方式)の計算をすると離婚時は1万5282円であったが4万円と定めた経緯があり、本件をあらためて算定表の計算をすると9254円であるが2万円の決定となった。

出典 家庭の法と裁判2019 No23 

〜〜解説の抜粋〜〜〜
5.合意又は審判により定められた養育費の額が標準算定方式による資産額と異なる場合

合意又は審判により定められた養育費の額が、その当時の収入等に照らして標準算定方式により資産される額と異なる場合には、その相違が生じた事情を踏まえた上で、養育費の増減額を検討するのが相当である。

もっとも、新たな養育費を定めるに当たり、標準算定方式による試算額との相違をどのように考慮するかについては、

@標準算定方式による試算額との差額を固定費として扱う考え方や、

A標準算定方式による試算額からの乖離率を考慮する考え方など、

様々な考え方があり得るところであり、事案ごとに、具体的な事情に即して公平で合理的な考慮のあり方を検討する必要があると思われる。

本決定は、@AとBが公正証書によりCの養育費を月額4万円とすることを合意するに際して標準算定方式による試算をしたことを認めるに足りる資料はないものの、Aが、Bの両親から養育費の平均が2万円から4万円であるという説明を踏まえ、一旦3万円とすることで合意したが最終的には月額4万円とすることで合意したという経緯に照らすと、

上記合意における当事者の意思としては、標準算定方式による試算額(月額1万5282円)を上回る場合であっても、その試算額に差額分(月額2万4718円)を加算する趣旨であったと解するのが合理的であり、
現在における養育費の額を決定するに当たっても、その合意の趣旨は尊重されるべきであるとした上で、

AAがE及びFに対しても扶養義務を負うに至ったことを踏まえ、公平の観点から、上記の差額分2万4718円を生活費指数に応じてCの養育費試算額である月額9254円に加算し、その他一切の事情を考慮して、AがBに対して支払うべきCの養育費の額を月額2万円と定めるのが相当であるとした。

本決定は、標準算定方式による試算額との差額を固定費として捉える考え方に依拠しつつ、扶養家族の増加を考慮して公平妥当な加算額を算出したものといえよう。


日時:2019年10月16日 15:36
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