世帯収入が少ないので私立大学の学費は奨学金を使わざるを得なかったであろうことならば、離婚をしなかったとしても離婚をしても同じこと、という判例です。
この判例が特長的なのは、国立大学の進学を視野に入れていたことを理由に負担する学費を国立大学の学費をベースに計算したことです。
養育費の額
原審判72,000円→抗告審3万円。
(1)本件は、母が父に対し養育費を求めたもので、原審判では算定表+子が実際に進学した私立大学の学費と通学費の合計額を父母の基礎収入で按分した金額となった。
(2)これに対して、この抗告審では、大学の学費については、子の大学進学の経緯や父母の収入等を考慮して、国立大学の学費標準額および通学費から公立高校の学費を控除した額に父が負担すべき割合を乗じて算定した。
(3)本決定は、父母が婚姻中に、子の進学する高校を検討した際、国立大学の進学を視野に入れて進学先を選択したこと、また、父母の収入をみると離婚しなかったとしても夫婦の収入で子の学費全額を賄うのは困難であり、子は奨学金を受けたりアルバイトをするなどして学費の一部を負担せざると得なかったであろうことが推認されるとして、父の負担すべき割合を3分の1とした。
(4)学費の負担について誰がどの程度負担するか次の4つの考え方がある。
@父母それぞれの基礎収入の割合で学費を負担。
A父母が2分の1ずつ負担。
B子の教育費の一部を負担。
C学費は全額子が負担し、生活費相当額を父母が負担。
大阪高裁 平成27年4月22日決定 子の監護に関する処分審判の抗告事件