【合意により定められた養育費分担義務の終期について、その延長を認めるべき事情変更の有無】
子の監護に関する処分(養育費請求)審判に対する抗告事件 大阪高H19.11.9(決)
当事者間の合意によって養育費の分担期間を定めた場合において、
合意による養育費分担の終期以降も費用の分担を求めるためには、その終期の定めを維持することが相当でないと認め得るような事情変更があることを要するところ、
当該合意後、未成年者と権利者の再婚相手との養子縁組、支払義務者の再婚及び子の誕生といった養育費の分担を減免させるような事情変更を生じたが、
これらについて当事者間では一切考慮されず、その結果、支払義務者が合意どおりの養育費分 担額を支払い続けたといった経緯に照らせば、
未成年者の大学入学等に費用を要することをもって、当該合意による養育費分担義務の終期の定めの延長を認めるべき事情変更があったとみることは同等ではない。
家庭裁判月報 平成20年6月 第60巻 第6号
●阿部補足
本件の元夫婦は、離婚のときに「養育費を未成年者が18歳に達する月まで、月額5万円支払う。」合意をしました。
未成年者が18歳になる頃、元妻は、未成年者が大学進学を希望しているとして、養育費の終期を22歳に達する月まで延長することを求めて、家庭裁判所に養育費調停の申立てをしました。
調停は不成立となり審判に移行した結果、
「養育費の額を1万5千円として20歳まで支払え」という決定が出ました。
これを不服として、元夫は抗告をした事案です。
抗告審では、結果、養育費は元の合意通り18歳までとして延長は認められませんでした。