会社を退職して収入がなくなったことを理由として、養育費免除の申立てをしたものの、免除とはならず、前職の年収ベースの潜在的稼動能力を収入としてその額に基づき養育費を算定した事例です。
先行する審判において養育費の支払いを命じられた申立人が、勤務 先を退職して収入がなくなったとして養育費免除の申立てをした事案において、申立人は先行する審判の強制執行を免れる為に勤務先を退職したものであるから、申立人が現在収入を得ていないことを前提に養育費を免除することは相当でないとして、申立人の潜在的稼動能力を前提に申立人が勤務を続けていれば得べかりし収入に基づき養育費を算定し、申立てを却下した事例
(参照条文)民法766条2項、880条、家事審判法9条1項乙類4号
子の監護に関する処分(養育費免除)申立事件 福岡家 H18.1.18
家月58巻8号
裁判所の判断一部抜粋
申立人は、前件審判時から、強制執行を受けた場合には勤務先を退職して抵抗する旨の意向を融資ていたところ、現に強制執行を受け、裁判所により強制的に支払わされることに納得できなかったために、勤務先を退職したのであり、稼働能力は有していると認められる。
そもそも、未成年者の実父である申立人は、未成年者らを扶養し、未成年者らを監護する相手方に対し養育費を支払うべき義務があるところ、前件審判において、養育料の支払いを命ぜられたにもかかわらず、一度も履行せず、強制執行を受けるやそれを免れるために勤務先を退職したのであるから、
申立人が現在収入を得ていないことを前提として養育料を免除するのは相当ではなく、申立人が潜在的稼働能力を有していることを前提として、勤務を続けていれば得べかりし収入に基づき、養育料を算定するのが相当である。
元記事/2006.10.24 Tuesday/ 阿部マリ