以下、DV防止法による保護命令の種類です。
@ 被害者本人への接近禁止(配偶者暴力10@一)
配偶者に対し6ヶ月間、被害者の住居(退去命令の対象となる被害者と配偶者が生活の本拠を共にする住居を除きます)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、または被害者の住居、勤務先その他の通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものです。
なお、生活の本拠としている住居とは当事者が生活の拠り所としている主たる住居のことで、例えば被害者が一時保護所や親戚、友人宅に避難しているといった場合は、従来配偶者と住んでいた場所が生活の本拠になります。
A 被害者への電話等禁止(配偶者暴力10A)
被害者への接近禁止命令の期間中、配偶者に対して、以下のいずれの行為も禁止する保護命令です。@の被害者本人への接近禁止命令と併せて(同時または被害者への接近禁止命令発令後)発令されます。
a 面会の要求
b その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと
c 著しく粗野または乱暴な言動をすること
d 電話を掛けて何も告げず、または緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、もしくは電子メールを送信すること
e 緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、または電子メールを送信すること
f 汚物、動物の死体その他の、著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、またはその知り得る状態に置くこと
g その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと
h その性的羞恥心を害する事項を告げ、もしくはその知り得る状態に置き、またはその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、もしくはその知り得る状態に置くこと
B 被害者の同居の子への接近禁止(配偶者暴力10B)
被害者への接近禁止命令の期間中、被害者と同居している未成年の子への接近禁止を命ずる保護命令です。
被害者本人への接近禁止命令と併せて(同時または被害者への接近禁止命令発令後)発令されます。
配偶者が被害者と同居している子を連れ戻す疑いなどがある事情により、将来、この身上を監護するため被害者が配偶者と面会をせざるを得ない事態が生じるおそれがある場合に、被害者の生命または身体に対する危険を防止するために発せられます。
C 被害者の親族等への接近禁止(配偶者暴力10C)
被害者への接近禁止命令の期間中、被害者の親族その他の被害者と社会生活において密接な関係を有するもの(以下「親族等」といいます)の身辺につきまとい、またはその通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令です。
被害者本人への接近禁止命令と併せて(同時または被害者への接近禁止命令発令後)発令されます。
当該親族等が被害者の15歳未満の子である場合を除き、当該親族等の同意があるときに限ります。当該親族等が15歳未満または成年被後見人である場合には、その法定代理人の同意が必要です。
配偶者がその親族等の住居に押しかけて著しく粗野な、または乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから、被害者がその親族等に関して配 偶者と面会せざるを得ない事態が生じるおそれがある場合に、被害者の生命または身体に対する危険を防止するために発せられます。
D 退去命令(配偶者暴力10@二)
配偶者に対し、2ヶ月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること、および当該住居の付近をはいかいしてはならないことを命ずる保護命令です。
ただし、この退去命令は、申立時に被害者と当該配偶者が生活の本拠を共にしている場合に限られます。